書く実験の記録

#797 対象との距離

今はタクシーに乗っている。京都の風景は、こう見ると全体の色が落ち着いているなと思う。住んでいるとこれが普通になっていてバラバラな感じがするが、遠くから見てみるとある程度制御できているのかもしれない。遠くから見ないとわからないものもあるし、近くから見ないとわからないものもある。

怪しいテレビショッピングのラジオが流れている。MCの人と商品説明をする人が一緒に商品の希少性をアピールしていくわけだ。「なんとか頑張って50個準備しました」とか、「次のご案内は未定なので今回ぜひ」とか、「先着50名」とか、「皆さん全員は買えないかもしれません、限定だから」とか。そういうテレビショッピングっぽいメソッドに、微笑ましい気持ちになってしまう。

しかしそれは、今回たまたま自分があまり興味も関係もない商品だったからそういうふうに見えているだけだ。それもまた遠くから見ることができているということだが、実際に自分が中にいるような商品だったらどうだろう。同じように冷静に見ることができるだろうか。もちろん、それは怪しいだろう。

例えば今、タイムリーな話題として、パソコンのメモリが高騰しそうだということになっていて、早めに買っておこうみたいな話がまことしやかにされている。もちろんこれは相当程度、本当の情報だろうし、背景情報もある。品薄の懸念があるのは事実だろう。しかし、事実だろうと思ってはいるけれども、危機感を煽られているのも事実だし、だから早く買わなくちゃと思っているのも事実だ。それは近くから見ている以上、近くから見ていることしかわからないのも、また事実だ。

2025-12-12

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